歯科専門医 共通研修について
概 要
共通研修とは、歯科専門医として必要な社会的知識や診療態度の維持・向上を目的とした研修であり、特定の専門領域を超えて実施されるものです。
単位の取得要件
歯科専門医の新規申請および更新申請には、以下の条件を満たすことが求められます。
- 申請までの5年間において、共通研修区分の①医療倫理、②患者・医療者関係の構築、③医療安全、④院内感染、⑤医療関連法規・医療経済の各項目から1単位ずつ、合計10単位以上を取得すること。
- 「①医療倫理」「②患者・医療者関係の構築」「⑤医療関連法規・医療経済」の3項目については、日本歯科専門医機構が主催する共通研修の受講が必須です。
- 共通研修は、1年ごとに2単位の受講が推奨されています。
1.基本的な考え方
すべての歯科専門医が専門領域に関わらず修得すべき内容を共通研修として必修化します。研修の受講実績は、更新に必要な単位数の取得により評価し、その評価基準と確認方法を明確に定めます。
2.共通研修の項目と内容
専門医資格の認定または更新を行うにあたり、以下の5項目に関する講習会・セミナー等の受講を必須とします。受講内容、回数、評価方法等を明示します。
※受講対象となるのは、申請学会、日本歯科医師会、関連学術団体、省庁や各種公共団体などが主催し、本機構が適切と認定した講習会、もしくは日本歯科専門医機構が主催する講習会です。
以下に、具体的な研修項目と例示される講演テーマを示します。
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① 医療倫理
- 医療倫理の基本と臨床上の倫理的課題
- 患者の人権と医療の在り方
- 医歯学研究の倫理(先端医療・生命科学の課題、利益相反など)
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② 患者・医療者関係の構築
- インフォームド・コンセントと自己決定権の尊重
- 個人情報の保護と活用
- 情報共有とコミュニケーション能力、価値観の共有
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③ 医療安全
- リスク要因の理解と防止(ヒューマンエラー、スイスチーズモデル、ハインリッヒの法則、PDCAサイクル、根本原因分析など)
- 医療事故発生時の対応(インシデント・アクシデント報告など)
- 救命救急処置(JRC蘇生ガイドライン等)
- 医薬品・医療機器に関する有害事象対応
- 再生医療の安全確保と多職種連携
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④ 院内感染対策
- 標準予防策(スタンダード・プレコーション)
- 歯科用器材の滅菌・消毒
- 感染経路とその予防法
- 感染症発生時の対応
- 新興・再興感染症、耐性菌対策、抗菌薬の適正使用
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⑤ 医療関連法規・医療経済
- 医療法、歯科医師法、歯科衛生士法、歯科技工士法など
- 健康保険法、介護保険法、薬機法、感染症法など
- 医療事故や副作用対応(公的補償制度など)
- 医療福祉制度と医療経済(保険医療を含む)
- 医療広告と広告ガイドラインに関する理解